従来は胸骨を正中で縦切開し、心臓を露出する手術が一般的でした。この方法では胸骨をワイヤーで固定しますが、骨が完全に治癒するまで1-3ヶ月を要し、上半身の運動、仕事に制限がありました。また手術の傷が襟元に出てしまいます。
右の胸を肋骨と肋骨の間で切開し(肋間開胸と言います)心臓手術を行う、MICS(ミックス)という方法があります。この方法では胸骨を切らないため、術後の回復が早く、傷も目立たないというメリットがあります。また胸骨の下半分のみを切開する方法もあります。
小開胸低侵襲心臓手術は従来の方法と比べ、切開部から心臓までの距離が遠くなるため、技術的にやや難しく、時間がかかります。時間をかけて慎重に手術を行いますので、手術の結果は従来の方法と変わらないと思われます。しかし時間がかかること自体が、心臓手術においてはデメリットになることがあります。長期的にみて手術が必要な心臓の病気がありますが、まだ心臓の機能に余裕があり、手術に時間がかかることによる悪影響が少ない場合、この方法が用いられます。