横浜市立大学医学部 循環器・腎臓・高血圧内科学教室(横浜市立大学附属市民総合医療センター 心臓血管センター)は、JROAD- DPC データベースを用いて、人口密度が低い地域での入院は、心不全患者の院内死亡率が高いことを2020年4月に報告しました(*参考論文)。
同教室では、今回も日本循環器学会の実施する「循環器疾患診療実態調査(JROAD /JROAD- DPC)」に参加し、横浜市立大学附属市民総合医療センター 心臓血管センターの松澤泰志講師・木村一雄教授らの研究グループが、2012年~2015年に発症した64,414人の急性心筋梗塞患者をデータベースに登録して解析を行いました。
その結果、日本でも低人口密度地域では急性心筋梗塞院内死亡率が高く、搬送距離に関わらず、緊急カテーテル治療実績件数の豊富な病院に搬送された場合には予後が良好であることを明らかにしました。
これは今後の日本の循環器救急医療システムを考える上で重要な知見です。
研究成果のポイント
〇 | 日本でも、低人口密度地域では急性心筋梗塞院内死亡率が高い。 |
〇 | 搬送距離に関わらず、緊急カテーテル治療件数の多い病院への搬送が死亡率を抑制する。 |
本研究は、日本循環器学会の機関誌『Circulation Journal』に掲載されました。
(5月27日オンライン *掲載論文)
掲載論文:
In-hospital mortality in Acute Myocardial Infarction According to Population Density and Primary Angioplasty Procedures Volume. Matsuzawa Y, Konishi M, Nakai M, Saigusa Y, Taguri M, Gohbara M, Ebina T, Kosuge M, Hibi K, Nishimura K, Miyamoto Y, Yasuda S, Ogawa H, Saito Y, Nakayama N, Takeuchi I, Tamura K, Kimura K. Circulation Journal, Epub 2020 May 27. DOI : https://doi.org/10.1253/circj.CJ-19-0869.
参考論文:
Impact of population density on mortality in patients hospitalized for heart failure - JROAD-DPC Registry Analysis. Konishi M, Matsuzawa Y, Ebina T, Kosuge M, Gohbara M, Nishimura K, Nakai M, Miyamoto Y, Saito Y, Tsutsui H, Komuro I, Ogawa H, Tamura K, Kimura K. Journal of Cardiology, 2020 Apr;75(4):447-453. DOI: 10.1016/j.jjcc.2019.09.008
※本研究は、日本学術振興会科研費(若手研究, JP18K15896)による補助を受けて行われました。
日本循環器学会循環器疾患診療実態調査(JROAD/JROAD-DPC)